『この中に1人、妹がいる!』が先進的すぎてやばい:1話メモ
キマシタワー。新時代、キマシタワー。
さて、原作を2、3巻くらい読んだ者として、非常に不安しかなかったアニメ化ですが、その不安は吹き飛ばされました。なんか、これなら自信を持っておすすめできる! とかではないんだけど、そんなことを不安がっている場合ではない問題作です。繰り返します。これは問題作です。
全部にツッコミを入れていくととんでもない長さの記事になってしまいそうなので、とりあえず主人公氏と鶴眞心乃枝ちゃんが出会ってからさっそくイチャラブ公園デートするまでを順に見てみようと思います。
- あまりにも不用心にケーキ屋から現れた心乃枝嬢はそのまま早朝の街中を激走するトラックの前にひらりと躍り出る
- 轢かれそうになったところ、なんと自力で避ける
- 主人公氏、倒れた心乃枝嬢に駆け寄り、ケータイを拾う(フラグです!)
- 全然大丈夫ですう~という感じで笑う
- 主人公氏、命の危機にあった女子に何気なく道案内を頼む
- じゃあ一緒に的な
- いつもあそこでシュークリーム食べてるんです(一緒に食べませんか? 的な)
おいおい全体的に画面が白すぎじゃなかろうか? 話も画面も、お前らどんだけハッピーなんだよ。
まあ、それくらいのことはアニメではよくあるから置いておくとして……
- 時間ぴったりと半に鳩が鳴く時計(すごくフラグっぽい!)
- あ、クリームがついてますう~的な
- ここから怒濤の一方的会話
- 心「あ、あのわたし、誰にだってこんなことするわけじゃないんですよ」
- 心「なんだか、なんだか不思議ですよね。私たちずっと前から知り合ってたみたい」
- 主「え?」
- 心「こういうのなんて言うか知ってますか?」
- 主「え?」
- 心「運命の出会いです!」
- 僕「え?」
萌えをプロットから独立のものとして提供し、大成功を収めたアニメに『IS インフィニット・ストラトス』があります。このアニメは僕にとっては衝撃的でした。つまり、キャラクターを構成するシチュエーションの連続がストーリーを形作る(すなわちプロットを構成できる)という常識的な枠組を破壊したということです。ストーリーから独立にシチュエーションを提供でき、それでキャラクターを確立した(プロットはキャラクターにとって属性を付加する程度の役割を担った)ということが、まさしく革命的でした。
で、『中妹』の話ですが、これはさらに先進的。
最後のセリフ回しに関してですが、このヒロイン、シチュエーションすら無視を決め込んでそれらしいセリフを連発しているのです!
主人公氏が「え?」「え?」って連発しているのに同調するかのように、視聴者も「え?」です。
今、そんなこと言う場面? そんなセリフが無条件に連発されるのです。
ですが、この強引さはアッパレなわけです。ほら、『IS』だって、はじめはこんな感じだったじゃないですか。
『中妹』は『IS』が示した萌え(ブヒ)の最小単位としてのシチュエーションをさらに分割し、プロットから独立したシチュエーションからも独立したセリフ=単語列を新たな萌えの最小単位として提唱しているわけです。
そして最後に付け加えるならば、我々はこの革新的なコンテンツに対して萌えられる/萌えられないが試されているとも言えます。
あまりに話がサッパリだったからと言って、1話で切ったりせず、3話、5話、8話、あるいは12話くらいまで見てみることをおすすめします。